23「夢は9割かなわない」弘兼憲史


夢は見るものであり誰でも夢見ることができる。
しかし、目標を実現するにはそれなりの戦略が必要である。


この本に書かれていることを要約するとこんな感じだろうか。
実に気持ちがいいタイトルだ。


私は昔も今も「夢は持った方がいい」「夢見ることはいいことだ」
「大きな夢を持ちなさい」「夢はかなう」的な
夢にまつわる無責任な格言、教えにとても抵抗を持っている。

そもそも、そういうことを教えている大人たちが自分の夢らしきものをかなえていないし、
自分の身の回りを見ても、夢をかなえた大人はほとんどいなかったからだ。

むしろ 「夢破れて山河あり」的な人生を送っている人の方が多いのではないか。

加えて都市部を中心に、実力もキャリアもない連中が教えている怪しい専門学校等の乱立は、
「夢幻想」に拍車をかけて無知な若者を食い物にしている。

まるで才能のない大人たちの食いぶちのために「夢」が存在しているようにすら見える。

結局、我々が良く耳にする「夢」という言葉の先には、「かなわなくてもいい夢物語は誰でも精神安定剤のように持つことができるヨ」という
ひどくがっかりする結論しか見いだせなくなってしまう。


一方で「夢は9割かなわない」の作者弘兼憲史は、「夢」を「実現可能な目標」を置き換えたうえで、
作者の経験に裏打ちされた実践的な虎の巻を多く提示している。

これを読んでいて豊臣秀吉伊藤博文も、ここに書かれているスキルが高かったのでは?とふと思ってしまう。

とてもシンプルな本だが、何度も読み直したくなる一冊だった。

まさに「夢に向かって生きている」若い人たちに読んでほしい。