24「カレーライスと日本人」森枝卓志

古本屋で目に止まり購入した一冊。
初版が1989年というから、相当長く読まれているようである。

日本に本格的なインド料理がほぼない時代に、著者は日本のカレーのルーツを探しに
インド、イギリスへと旅を足を運び、大英図書館で文献探しをする。
その努力の結果、徐々に明らかになる「カレーの真実」が読んでいて面白い。

これを読めば「カレーは上から、ラーメンは下から広まった」などの意味もうなずける。

明治維新後、西洋料理としてもたらされた初期のカレーが、
どのように変遷して大衆食として現代まで続いているのかの考察は、
知らないことばかりでただただ驚く。

俯瞰的な視点からいえば「カレー」という食べ物を通して、明治以降の日本人の生き方すら見えてくる気がしてしまうようだ。

読むとカレーが食べたくなる一冊に間違いない。