106 『思い出のマーニー』(2014)


【スタッフ】
監督:米林宏昌
原作:ジョーン・G・ロビンソン
脚本:丹羽佳子 安藤 雅司 米林宏昌
音楽:村松 崇継

【あらすじ】
心に傷を負った少女・杏奈は育ての親の愛情が信じられず、学校にも心を許せる存在もいない。あることがきっかけで体調を崩した杏奈は母親の計らいで田舎の親戚の家に療養することになる。滞在先の家の近くには湿地帯があり、その奥には古ぼけた洋館が建っていた。惹かれるようにその建物に近づく杏奈の前にマーニーと名乗る少女が現れる。

【感想】
心地いい余韻に浸ることの出来た作品だった。

ある男女が遠距離恋愛をしていたとする。2人が会えるのは月に一度。最愛の恋人にやっとあえたその日は、あっという間に時間が過ぎていく。とうとう別れの時間を迎え、2人は惜しみながらもまたそれぞれの生活に戻って行く。
そんな時の帰り道は、恋人と過ごした時間を振り返って、ただ相手のことばかり考えてしまうだろう。

思い出のマーニー」もそんな、他のことに意識を奪われたくないような余韻がずっと残る作品だった。

居場所のないモノが、夢の中でも空想の中でもいいから、自分を受け止めてくれる人を見つけた時の幸福感。

恋人ではなくて、友でなければ持ち得ない、永遠の契りとも思えるような親愛の情。

子供の時でないと持ち合えない、「あの時の感情」がとても美しく描かれていたと思う。

久しぶりに「美しい作品」を見た気がした。

エンドロールを見ると、1000人位の人が関わっている感じがする。
一流のものつくりとはどういうものかを、理屈抜きで教えられた気がした作品だった。


【総評】☆25STARS☆ (各項目5点満点で計30点)
脚本★★★★
演出★★★★
役者★★★★
撮影★★★★
美術★★★★★
音楽★★★★

「やっぱり映画が好きです。」