4『チルドレン』 伊坂幸太郎

ユーモアあふれる洒落た会話。
交錯する過去と現在、散りばめられたトリック。
伊坂ワールドを味わうには格好の一冊。

ストレートな感情表現と真理原則のような正義感で生きる破天荒な青年時代と
そのまま大人になった家庭裁判所に勤める社会人時代の2部で構成される物語。

社会的権威のある男性が離婚してまで援助交際をしたり
売春クラブの女子高生が、逆に大人をゆすったり、
銀行員が全員グルで、自分の銀行を強盗してみたり
借金背負った誘拐犯を助ける為に、両親から身代金を取ろうとする子供がいたり
と穏やかでないリアルな歪んだ社会に生きる若者達をドライにそれでいて明るく描いている。
世の中にあふれる不正義、欺瞞、差別意識、不平等、屁理屈などを
陣内という男は軽く乗り越えて相手の心まで飛んでくる。
爽快な彼の存在は、まるで現代に生きる若者達に一つの道を示しているようだ。

【評価 各5点満点】

ストーリー3 人物描写3 文章力4 オリジナリティ4 その他(トリック)5 合計19/30