5『崖の上のポニョ』宮崎駿監督


無茶苦茶だ。
この状態で公開して良かったのだろうか?
物語が何度も破綻して、謎や意味の説明もないまま、時間が進行していく。
意味不明さはあの「キャシャーン」を容易に超える位。

「名作を作った監督の新作が必ずしも名作とは限らない」
ということを強く再認識させてくれる作品。

あらすじは…
小学生、「そうすけ」は海で遊んでいる時に、不思議な生物を発見する。
その容姿から「ポニョ」と名付けられた生き物は、そうすけによくなついた。
魔法が使えて、少し話せる奇妙な生物は「そうすけ」と心の通った関係になる。
ポニョの父親で元人間「フジモト」は、人間にさらわれたポニョを奪い返し
魔法をかけて海に閉じ込めた。
「そうすけ」にもう一度会いたいポニョのとった行動は、世界の秩序を乱していく。

http://www.ghibli.jp/ponyo/
(以降ネタバレを含みます)
謎の連続だった。これだけの?を無視して進めるのはすごい。

・ポニョは金魚に見えない。髪生えてるし、服もきてる?
・どうして人間の血をなめると半魚人になるの?しかも手足は鳥。
・ポニョの父緒はどうして人間を辞めたの?
・あの無数の妹達をどうやって「作ったのか?」
・妹は波なのか(というか何物)?
・三輪さんみたいなポニョのお母さんは一体何?
・ポニョの正式な名前を両親がほとんど呼ばないのは何故?
・そうすけのお母さん。大事な息子を車に乗せて、無謀な運転をするのは何故?
・このお母さん、子供に「お母さん」でななく自分の名前で呼ばせているのには意味が あるの?
・そうすけは、父が乗っていた船が沈んだかも知れないのに、悲しくないの?
・どうしてポニョが話すのは日本語なの?
・魔法の泉みたいな壺は何だったの?
・あれをあけると世界が水浸しになるのはどうして?
・海の端に集められた船は何の為?
・ポニョに魔法をかけたのは誰?
所ジョージのセリフが棒読みなのは何故?
・どうしてそうすけのお母さんは「波の中に女の子がいる」という言葉を素直に信じて 車を止めたの?
・周りが海で沈んだら、みんな死んじゃうから悲しいんじゃないの?
・どうして5歳の男の子が古代魚の名前を詳しく知っているの?
・そうすけの母とポニョの母が話している内容は何?
・そもそも世界を海で覆って、大人達は混乱するんじゃないの?
・海の中に張られた結界から出てくると病気が治るのはどうして?
・何故そうすけが世界を救えるの?
・ポニョが人間になる事に世界との関係はあるの?
・あの月みたいな天体は何?
・5歳の時点で半魚人と一緒になることを決めちゃっていいの?
・宮崎監督はどうしてこれを作ったの?
・どうしてこれにたくさんのお客さんが入るの? 等々

私はいわゆる「宮崎アニメ」と呼ばれる作品のファンではない。
しかし多くの客動員数を誇る作品を見ないで、イメージだけで会話に参加するのは
反則な気がした。
よって時間とお金を使って劇場に行った。


小学生だった頃、周りの同級生が宮崎アニメを見ているとき、私は機動戦士ガンダムを見ていた。
みんなが口をそろえて同じ作品を「面白い」騒ぎ立てるとのが不思議だった。

中学校の時は「魔女の宅急便」の主題曲を、鼓笛隊という団体で演奏させられた。

親の金でバイクを買って粋がっていた同級生も何故か「トトロ」を見ていた。

学校では「真っ黒くろすけ出ておいで!」と叫んでみんな笑っていたが意味が分からなかった。

田舎のスーパーに行くと、この監督の作品ばかりがよく売られていた。
私が好きだった深作監督の「里見八犬伝」は当然売ってなかった。

次第に知った。このアニメは日本の大人も喜んでみていると。
「大人なのに他に楽しみがないのだろうか」と素朴に思った。
子供と一緒にファミコンをやっている大人と同様気持ち悪さを感じた。

そして色んなアニメが朝6時30分から放送されている中
宮崎アニメが「大人も公認」のアニメにあっていたのに違和感を感じていた。

映画館にほとんど行かない老若男女が、このアニメの時だけ義務感のように
足を運んでいるのが理解できなかった。

私は大人になった。
気持ちも少しは大人になったかも知れない。
それでも同じことを思う時がたびたびある。

【評価 各項目5点満点】
脚本1 演出2 声優2 撮影2 美術3 音楽3

計13/30

それでもやっぱり映画が好きです。

【レビュー2】
以下はショーンアイマックス氏からの投稿である。原文をそのまま掲載する。
いろいろな人がいろいろなことを言いそうな映画の筆頭格なので、ぼくは非常に個人的なことを書きます。
僕は宮崎映画の中で好きなシーンがある。それは水を描いたシーンだ。
一番いいなと思ったのは、「千と千尋の神隠し」の後半で千尋が銭婆に会いに行くため水の上を走る列車に乗るシーン。遠浅の海なのだろうか、水の上に駅があり、あたり一面は鏡のような水面(みなも)におおわれている。あのシーンが無性に好きなのです。
となりのトトロ」ではメイが初めて引っ越してきた家の入り口の小川にかかる小さな橋から水を覗き込むシーン。
魔女の宅急便」でも海が出てくるし、宮崎氏はかなり水を意識的にモチーフとしていると思う。
今回「ポニョ」はまさに水がテーマだった。中でも好きなシーンは嵐が引いた後、小船に乗ってリサを探しに行くシーンだ。小船を真上から描いたシーンで、水中には古代魚のような不思議な魚が悠々と泳いでいく。すべてを飲み込んでいった直後の穏やかな水。そのトロっとした質感が描かれていて好きなのです。
荒々しい水もあるけれど、鏡のような水ってとても心落ち着くものです。

【この映画の傾向】
旅・青春★★
人間・人生★★★
愛・恋★★★
史実・ドキュメンタリー
エンターテインメント★★★