96『クロスゲージ(MOST WANTED)』(1997・アメリカ)

【スタッフ】
監督:デヴィッド・グレン・ホーガン『バーブ・ワイヤー/ブロンド美女戦記』
脚本:キーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ『ファイブ・ハートビーツ』
撮影:マーク・レショフスキー 『』レッドロック/裏切りの銃弾
音楽:ポール・バックマスター『12モンキーズ

【キャスト】
ジェームズ・ダン:キーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ『グリマーマン
アダム・ウッドワード将軍:ジョン・ヴォイト 『ALI アリ』
ヴィクトリア・コンスタンティーニ:ジル・ヘネシー団塊ボーイズ
ケニー・ラックミル:ポール・ソルヴィノ『REPO! レポ』

【感想】(ネタばれを含みます)

ジェームス・ダン軍曹は腕利きのスナイパー。
湾岸戦争で通信兵の疑いがある「子供」を殺害することを拒否した為、
上司とつかみ合いになり銃が暴発。
上司の事故死により、死刑宣告を受ける。
しかし謎の圧力により、ダンは救出され
「ブラックシープ」という秘密部隊の仕事に力を貸せば、
罪を免除すると話をもちかけられる。
その「ラース作戦」と命名された仕事とは、
国連決議に違反し闇マーケットを仕切っている
薬剤会社社長を暗殺するというものであった。
決起当日、ダンはスナイパーとして、仲間と共に作戦を遂行しようとするが、
別のスナイパーが同席していた大統領夫人を狙撃・殺害し、作戦は中止。
ダンは大統領夫人を殺した濡れ衣を着せられ、逃亡するはめになる・・・。



前半戦から、早い展開で進んでいくので、絵の動きだけ追っていても、それなりに楽しめる。
しかし、またしても海兵隊モノである。
今度の話は、マリーン(海兵隊)が無実の罪をかぶせられ、
逃亡しながら事件の裏にある巨大悪の
存在にせまりほぼ自力解決する、という話である。
(アメリカ・海兵隊映画に関しては、
『ハートブレイクリッジ』http://d.hatena.ne.jp/cyuski/20090529/1243587303
『英雄の条件』http://d.hatena.ne.jp/cyuski/20090612/1244788512を参照あれ)

映画の中でこれだけ「悪者扱いされる」「捨て駒にされる」災難続きのマリーン達には、
ある種の同情を覚える。同時に、毎度「軍部」の不正・横暴・暴走などが描かれていることに、アメリカ国民はどう思っているのだろうか?という点が気になる。
ドイツにおける、負の文化的財産「ヒトラー」のように(仕方ないにしても毎度毎度「悪」のネタにされるドイツの人々の気の毒だが)、
毎度登場する・「アメリカ軍部」もステレオタイプ化してしまって、(しかも同時に政府やCIA、大企業なども同じ穴の狢であることが多い)
娯楽先品として見る側は「またか」という感じで、「軍部の闇に」マヒしてしまっている
ことはないだろうか?(この辺は想像の域なので、まったく分からないのだが)

大統領選挙の投票率を見ても、政治的関心の高いアメリカであるが、
ステレオタイプ化された「巨大組織の悪行」であってもを世に公開することであっても、
何らかの抑止力になっているのかも知れない。

【総評】☆16STARS☆ (各項目5点満点で計30点)
脚本★★★
演出★★
役者★★
撮影★★★
美術★★★
音楽★★★
「それでもやっぱり映画が好きです。」