95『デイライト(DAYLIGHT)』(アメリカ・1996)

【スタッフ】
監督:ロブ・コーエンハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』
脚本: レスリー・ボーエム『ダンテズ・ピーク
撮影:デヴィッド・エグビー『マッドマックス』
音楽:ランディ・エデルマンラスト・オブ・モヒカン

【キャスト】
シルヴェスター・スタローンランボー
エイミー・ブレネマン『ヒート』
スタン・ショウ『フライド・グリーン・トマト
ヴィゴ・モーテンセンイースタン・プロミス
クレア・ブルーム『ライムライト』
ダン・ヘダヤ『マルホランド・ドライブ
コリン・フォックス『ゴッド・フード』


【感想】(ネタばれを含みます)
1996年公開当時「アクション大作と銘打った割には期待外れの地味な作品」
という評判を受けていた記憶がある。

改めて見直してみると、確かにアクション・サスペンス的な視点は
物足りなさが強く残る反面、作品の中に生きる人物描写
は意外と丁寧で好感が持てた。

全編に一貫して、絶対絶命の環境におかれながらも、
それぞれの身の丈分の「他者への優しさ」が比較的よく描がかれている。

例えば、皆にうとまれる脱獄囚の男が事故で亡くなった時、
その死体に自らの上着をかけてあげる老人の配慮のように、
「極限状態でもすんでの所で理性を失わない」瞬間が多く登場するのだ。

パニックモノといえば「待ってました!」とばかりに登場・乱舞する
「人間とはしょせん、自分可愛さに本能に従って生きる野蛮な動物なのです」的な
「壊れたにんげんたち」を延々と見せられるよりも、
この作品のような細かい機微を描く方がよっぽど難しいのでは・・・とも思う。

ここで描かれた「極限状態下での、他者への優しさ」は、
アメリカ人の心の奥に絶えず眠る、「理性主義社会」を支える最後の砦の
ようなものなのかも知れない。

ただ、この作品、多くのディテールを1972年公開映画
ポセイドン・アドベンチャー』から
拝借しているという噂があるので、その点も確認する必要がある。


【総評】☆18STARS☆ (各項目5点満点で計30点)
脚本★★★
演出★★★
役者★★★
撮影★★★
美術★★★
音楽★★★

「やっぱり映画が好きです。」