85『マーサの幸せなレシピ(BELLA MARTHA)』(2001・ドイツ)


【スタッフ】
脚本・監督:サンドラ・ネットルベック『サージェント・ペッパー ぼくの友だち』
撮影:ミヒャエル・ベルトル 『 サージェント・ペッパー ぼくの友だち』
音楽:アルヴォ・ペルト『GERRY ジェリー』



【キャスト】
マーサ:マルティナ・ゲデック善き人のためのソナタ
マリオ:セルジオ・カステリット『マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶』
サム:ウルリク・トムセン『ある愛の風景
リナ:マクシメ・フェルステ



【感想】(ネタばれを含みます)
他人とのコミュニケーション能力が著しくかけるドイツ人女性・マーサは
それを埋めるように、仕事である料理の世界に没頭する。
やがては町を代表するシェフとなった彼女は、
仕事に人生のすべてをささげる無味乾燥な生活を送っていた。

そんな折、亡くなった姉の娘を引き取ったことから、
他者との関係を否応なしに持たざるを得なくなり、自分の中にある心の壁と
再度ぶつかり深く苦悩する日々を送ることになる。
同じ時期に店に来たシェフ・マリオは、
自分とは陽気で対極の人生を謳歌するような大らかな男。
2人の他者の出現で、マーサの人生は少しずつ変わっていく・・・


抑えた色彩、センスのいい音楽、自然さの中で演じようとする俳優たち・・・
そういったエッセンスが楽しめる作品に仕上がっている。
「マーサの幸せなレシピ」という頓珍漢な邦題タイトルからは、
料理シーン目白押しで栗原はるみさんのような人が
料理をすることによって幸せになれる・・・、
というよくある安直なハッピーエンド作品の印象を与えるが
(つけた奴は監督に謝罪した方がいい)、
原題「BELLA MARTHA」は美しいマーラというニュアンスであり、
「ある女性の一つの生き方」をテーマにした映画である。


そういう意味では、マーサという女性の心理描写が比較的よく描かれている。
気のきいたセリフ回しもよい。
ラストシーンのクレジットの出し方、
セリフを絞って音楽に合わせて絵をつなぐ結婚式のシーンは、
この監督のセンスの良さ、そしてマーサという女性に対する愛を感じる。



【総評】☆21STARS☆ (各項目5点満点で計30点)

脚本★★★
演出★★★
役者★★★★
撮影★★★
美術★★★★
音楽★★★★

「やっぱり映画が好きです。」