84『晩秋(DAD)』(1989・アメリカ)

【スタッフ】
監督・脚本:ゲイリー・デヴィッド・ゴールドバーグ
『モブジャスティス/殺しの掟』
原作:ウィリアム・ワートン 『バーディ』
撮影:ジャン・キーサー 『 恋しくて』
音楽:ジェームズ・ホーナー『ブレイブハート』



【キャスト】
ジャック・レモンアパートの鍵貸します
テッド・ダンソン『今ひとたび
オリンピア・デュカキス『月の輝く夜に
キャシー・ベイカー『NYストリート・スマート 』
イーサン・ホーク『トレーニング・デイ』



【感想】(ネタばれを含みます)
祖父、父、子と三世代にまたがりながら「父と子」「家族」そして
「死」というテーマを扱った作品。
この点で興味深い。

父という存在を失う恐怖から、己の人生を深く自省し、
離婚後素直になれなかった息子との距離を縮めようとする
エリートサラリーマン・ジョンの葛藤を物語の主軸に据えている。

しかし何と言っても、名優ジャック・レモンが被る
「死に向かう老人」の喜怒哀楽七変化の仮面には
目を見張るものがある。

残念なのは、肝心の「死」というテーマに踏み込んでいくときに
「キャラメルポップコーンのような「甘甘(あまあまな)な展開」しか
観客に見せることができなかった点である。

たとえば、余命宣告をされた男が妻との50年の歳月を総括し、
押し殺した自分を生き直そうとするシーンなど、
同テーマへの「踏み込み」はとってのいいのに、その後がだらしない。
(詳しくは実際に見て頂きたい)

脚本家が持つ「死生観」なのか、はたまた当時のアメリカ社会が抱える
共通認識なのか知らないが、とにかく甘すぎる。

脚本を囲む素材が充実していたので、とても残念である。




【総評】☆20STARS☆ (各項目5点満点で計30点)
脚本★★
演出★★★
役者★★★★
撮影★★★★
美術★★★
音楽★★★★

「やっぱり映画が好きです。」