60『剱岳 —点の記−』(2009・日本)

【スタッフ】
監督・撮影:木村大作鉄道員(ぽっぽや)』『八甲田山
原作:新田次郎武田信玄』『孤高の人
脚本:木村大作
菊池淳夫『半落ち』『単騎、千里を走る。
照明:川辺隆之『マリと子犬の物語』『NANA2
美術:福澤勝広『鉄道員(ぽっぽや)』クライマーズ・ハイ
録音:斉藤禎一『どら平太』『ビルマの竪琴
音楽:池辺晋一郎復讐するは我にあり』『影武者』

【キャスト】
柴崎芳太郎:浅野忠信『モンゴル』『地雷を踏んだらサヨウナラ
宇治長次郎:香川照之トウキョウソナタ』『キラサギ
小島烏水:仲村トオル『ロスト・メモリーズ』『接吻』
生田信:松田龍平『御法度』『恋の門
木山竹吉:モロ師岡キッズ・リターンラヂオの時間
岩本鶴次郎:仁科貴『JOHN RABE』『アキレスと亀
山口久右衛門:蟹江一平『哀憑歌 〜CHI-MANAKO〜』『陸に上がった軍艦』

柴崎葉津よ:宮崎あおいEUREKA ユリイカ』『少年メリケンサック
古田盛作:役所広司KAMIKAZE TAXI』『Shall we ダンス?
宇治佐和:鈴木砂羽闇の子供たち』『愛の新世界』
大久保徳明:笹野高史おくりびと』『武士の一分』
玉井要人:小澤征悦クライマーズ・ハイ』『隠し剣 鬼の爪


【あらすじ】
書籍レヴュー16『剱岳 点の記』 新田次郎を参照。
http://d.hatena.ne.jp/cyuski/20090515/1242373642
【感想】
力作である。
スタッフが一丸となって「前人未踏の霊峰」での過酷な撮影に挑み、成し遂げた仕事の大きさがスクリーンからビシビシ伝わってくるのだ。
前半戦から惜しみなく見せてくれる剣岳内部での浮世離れした映像美は力強く圧巻である。
これからから、一般的には「代り映えしない山の風景」を、相当の時間と労力をかけて、妥協なく撮影している作り手の心意気が手に取るように分かるのである。
一方で「山」以外の部分・・・人物描写、脚本上の間引き、地形の説明、そして入れる音楽のタイミングと質、などは手抜きではないか?と思えるほどの質の低さを露呈しているのが残念である。例えば、宮崎あおい松田龍平に無理やりに光を当てようとする演出と本人達のおかしな演技。柴崎と長次郎との心の通い合いをほとんど描いていない点。終盤戦まで、いらつくまでに流し続けるミスマッチなオーケストラ、そして無理やり「家族の話」に持っていく点(北京原人と一緒である)など・・・。
しかしながら、それらを打ち消すほどに剱岳部分での撮影には圧倒される。
映画はこれだけで充分なのだ。
これぞ、まさに男の仕事である。スタッフの方々に惜しみない拍手を送りたい。

【総評】☆21STARS☆ (各項目5点満点で計30点)
脚本★★
演出★★★
役者★★★★
撮影★★★★★
美術★★★★★
音楽★★
「映画が好きです。」