53『招かれざる客(GUESS WHO'S COMING TO DINNER)』 1967アメリカ

【スタッフ】
監督:スタンリー・クレイマーニュールンベルグ裁判』『手錠のまゝの脱獄』
脚本:ウィリアム・ローズマダムと泥棒』『アメリカ上陸作戦』
撮影:サム・リーヴィット『手錠のまゝの脱獄』『栄光への脱出
音楽:フランク・デ・ヴォール『キャット・バルー』『ふるえて眠れ』

【キャスト】
ジョン:シドニー・ポワチエ『野のユリ』『手錠のまゝの脱獄』
ジョーイ:キャサリン・ホートン『哀愁のメモワール』『ビリー・バスゲイト
マット:スペンサー・トレイシー老人と海』『少年の町』
クリスティーナ:キャサリン・ヘップバーン『勝利の朝』『黄昏』
ライアン司祭:セシル・ケラウェイ『幸福の森』『わが愛は終りなし』
プレンティス:ロイ・E・グレン
母:ビア・リチャーズ『ドラッグストア・カウボーイ 』『ビッグ・ショット』
ティリー:イザベル・サンフォード『ザ・ジェファーソンズ』『新スーパーマン

【受賞歴】
1967年アカデミー賞 
主演女優賞(キャサリン・ヘプバーン脚本賞ウィリアム・ローズ


【あらすじ】
輝ける経歴を持つ医師ジョンとリベラルな家庭で自由に育ったジョーイはハワイで運命の恋におちた。出会って2週間後、その情熱が冷めぬまま、2人はジョーイの両親に結婚の報告をしにいく。
しかしジョンは黒人、ジョーイは白人ということで肌の色が違う異性を連れてきたことに両親は混乱する・・・



【感想】(ネタばれを含みます)
ワンシチュエーション、限られたキャストの中で展開される本作は脚本力、役者力、そして演出力が強く問われる中、そのすべてがハイクオリティーを保つまぎれもない名作である。その旨さはいまだ色焦ることない。
その中核となっているのがこの素晴らしい脚本であろう。
肌の色の違いから始まって、男と女、妻と夫、リベラルと保守、ホワイトカラーとブルーカラー、若者と老人、そして親と子・・・
2人の男女の結婚問題に端を発して、実はその深層に潜む他者との関係性を浮き彫りにしていくのがこの作品の恐ろしさである。
セリフの中で語られる「ブラック・パワー」という言葉に懐かしさを感じつつも
人間関係とは今もって、この中で集約されているのではないだろうかとつくづく思うのである。

この本の上で、めぐりめぐる心情の起伏を少ない武器で表現している役者達も大したものである。つまり心象風景に逃げることなく、役者の表情・肉体・言葉でこちらに伝えてくる。ここではやはり、キャサリン・ヘップバーンスペンサー・トレイシーの名演が抜群に光っている。

余談であるが、色々と闇の部分も強いアメリカであるが、その一方で自己批判の精神から理想に向かい現状を変えていこうという、このような作品が昔から生みだされている点に、やはりアメリカらしさを感じる。

この作品が世に出て半世紀後、アメリカでは黒人大統領が生まれることになる。

【総評】☆23STARS☆ (各項目5点満点で計30点)
脚本★★★★★
演出★★★★
役者★★★★★
撮影★★★
美術★★★
音楽★★★
「映画が好きです。」