4こんなガンダムはどうだろう!?

機動戦士ガンダム
誰もが知っている言わずとしれた少年向けロボットアニメの傑作である。
私も少年時代に見た時は、独特の世界観や宇宙を駆け巡るロボット達の戦いなどにひどく感化された記憶がある。
見果てぬ宇宙に思いを馳せ、子供心に本当に「人の革新」などを考えたものだ。
その一方で、宇宙と言えば「矢追純一スペシャル」に別の意味で心ときめかせていたりもしたが・・・。

これらは言うまでもなく、「自分が子供だった」から持てた心情だと思う。
子供だった私が世界に対して無知だったからだ。
宇宙はもちろん、世界、そして日本のことすらもよく分からない時代だからこそ、あの内容が魅力的に映るのである。
もちろん主人公が少年というのも、感情移入しやすい要素なのだろう。
そのような少年時代に社会をデフォルメ化したアニメが、子供に世界の仕組みを教えてくれることは多い。

しかしある程度の歳になっても、子供用のデフォルメ化した世界にドップリ使っているのはいかがなものか。
「いい年した大人達」が例えば酒を飲んだ席などでガンダムを、ああでもない、こうでもないと血管浮き出るように熱く語っている姿をよくよく目にする。(実際私の周りにも多数いる)。
徴兵制もない日本で育ち社会経験もそこそこしている人間に「戦争の悲しみをガンダムで学んだ」とか
ガンダムは深い」とか「人間の革新を信じている」とか真顔で言われると「おいおい、それはどうだよ!?」と思わずいいたくなる。
「そもそも子供用アニメだろ」と。
彼らは就職活動で感銘を受けた作品は?と聞かれて「機動戦士ガンダム」と答えそうな勢いなのだ。

そこまで大の大人がガンダムガンダムいうのであれば、ここいらで正しい「大人のガンダム」というのもがあってもいいのではと思う。ということで私がイメージする大人ガンダムは・・・



☆☆【機動戦士ガンダムPERFECT MIDDLE 毎週深夜3時15分〜放送予定】☆☆

まず出だしだが、国家の存続がかかっている戦争の中で戦局を大きく変える軍の機密戦闘兵器が、毎度毎度少年に操られているのは絶対おかしい。

なので今回のガンダムパイロットはずばり、おっさん45歳。(独身。もちろん、ちょいハゲで太っている)
しかもコテコテの「オールドタイプ」。
おっさんは、かつての少年パイロットのように面倒臭い「自分探し」をしたり、気分で従軍拒否をしたり、「戦争の矛盾」に苦しんだりなんかまったくしない。正義とか悪とかそんなのもう悩まない。
自分達が間違っているかどうかなんてどうでもいい。
自分が生き残って幸せになればそれでいい。
趣味はギャンブルと酒と風俗。激しく戦い一戦終われば、おっさんは夜の街に消えていく。

またニュータイプではないので当然、目に映らないものは何も見えないし感じない(別に気にしてない)。
他者とテレパシーのようなもので分かりあう能力もない。
人間の革新とかそんなものに興味もない。敵陣の女性と引き裂かれた恋に落ちることもない。
むしろ女性スパイに取引として金で自軍の情報は売り渡すかも知れない。ついでに肉体を求めるかも。

おそらくこの人は一生覚醒しないし、本人もそれを望んでない。

しかし、このおっさん、長引く戦争の中で、生き残ってきただけあってめちゃくちゃ強い。
正確にいえばガンダムを動かす才能はもちろんずば抜けているが、それ以上に生に対する執着がすごい。
勝つためには手段を選ばない。

例えば降伏するように見せて敵をだまし討ちにするし、ある時は味方を囮にしたり盾にしたり平気でする。
当然女子供にも容赦はしない。時には人質を取って相手を丸腰にして倒す。

自分より格下の敵には汚い言葉を罵りながら容赦なく攻撃を加えるが、圧倒的に不利な戦局では、一人逃げたり、裏切りそうになったりする。
当然ヤバそうな奴とは戦わない。

ここまでするとさすがにパイロットを解任されそうだが、
ガンダム」=「一番強い」=「安全」というところで、おっさんは他のガンダムパイロット候補生を罠にかけて失脚させ、自分がガンダムに乗り続けるという妙芸をやってのける。
おっさんは、この戦争の中で何とか生き残ろうと必死なのである。

この強いガンダムの前には、青臭いニュータイプもなにもかも無力。
おっさんのなりふり構わない生に対する執念が、やがて戦局を変えていく・・・

うむ、これぞ正しい「大人のガンダム」である。
当然、「R−25」などで総力特集間違いなしだろう。
最終回では、感動のラストが待ち受けていること間違いなし!!