9『ローマから日本が見える』塩野七生

「指導者に求められる資質は次の5つである。
知力・説得力・肉体上の耐久力・自己制御の能力・持続する意思。
カエサルだけが、このすべてを持っていた。
イタリアの普通高校で使われている歴史教科書から」
~本文中よりの引用〜

高校時代に作家・塩野七生の「ローマ人の物語」で出会って以来、
ずっと魅せられてきた古代地中海世界

本作は何故、古代ローマはあれだけ繁栄したのか?を
その政体の変遷を追って解説すると同時に、
多くの部分で古代ローマを類似する部分がある(と著者は考える)
現代日本の進むべき方向を示した一冊である。

個人的に大好きな作家であり、彼女の著作を読むたびに、胸が熱くなる。
それは彼女が描く物語の主人公達が、それぞれ「いい男」であるからだろう。
どのように「いい男」であるかは、実際に読んで頂きたい。
またこの著作「英雄達の通信簿」として、アレクサンダーやペリクレス
スキピオハンニバルなど、押しも押されぬ古代地球会世界の英雄達を
「リーダーとしての資質」という観点から採点しているのだ。
これも古代地中海ファンとしては読み応えがある。

「生きている間に何かを成したい。」
そんな強烈な気持ちを持つ人なら読んで損はない一冊である。