4『ノーカントリー』コーエン兄弟 &『みんなのいえ』三谷幸喜監督

先日、知人のショー・アイマックス氏からレヴューの投稿があった。
折角なので原文をそのままここに掲載する。


DVD:ノーカントリー(原題:NO COUNTRY FOR OLD MEN) 2007年・アメリ

コーエン兄弟ノーカントリーを見た。
ハンティングに来ていたルウェリン(ジョシュ・ブローリン)は荒野の真っ只中で、殺人現場を発見する。
死体がごろごろ無残に転がる現場で大金の詰まったバッグを発見し持ち帰ったことで、冷血な殺人鬼シュガー(ハビエル・バルデム)との間に追うもの、追われるものという関係が生まれ、その緊迫感は映画の終盤まで続いてゆく。
乾いたアメリカの大自然。保安官すら丸腰だった時代、突然現れた冷血殺人鬼は無表情のまま、秩序を乱してゆく。
殺人鬼をアメリカと見ればよいのか時代と見ればよいのか、監督の意図は分からないけれど、どうしようもない暴力がここにある。映画が進んでも、明確な希望は示されないままエンドロール。
はぁ〜怖かった。翌日いやな夢にうなされた。(記・ショー・アイマックス

【採点 各項目5点満点】
脚本2 演出4 役者3 撮影4 美術2 音楽2(要素が低い)
計17/30

それでもやっぱり映画が好きです。


『Cyuski追加コメント』
私も劇場、DVDで2回鑑賞した。
スクリーン内のアメリカを恐怖で覆う「悪意」をもつ男(殺人鬼)。
頭脳明晰で社会常識の認識している。狂っているわけでもない。
がしかし、まるで息を吸うように人を殺す。
この男の前には道徳観や宗教、人間の尊厳という概念すらも何の価値も持たない。
まさに絶望的。
コーエンが見せる乾いた映像がそのことをより強調する。
最後には救いのない荒野がただただ広がっている。
現代の日本で横行する「心ない殺人」とリンクする部分があると感じるのは
私だけだろうか・・・。

主演ハピエル・バルデムのオカッパデニムダサ男への変貌ぶりは
驚嘆に値する。


【採点 各項目5点満点】
脚本3 演出5 役者4 撮影4 美術2.5 音楽3
計21.5
やっぱり映画が好きです。

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DVD:みんなの家 2001年・日本


Brack Romance Film の監督チュースキー似で知られるココリコの田中直樹演じる飯島直介は放送作家。妻民子といよいよ家を建てることに。設計は大学時代の友人で、家具のレストアやインテリアデザイナーとして活躍する柳沢くん(唐沢寿明)にお願いすることに。
施工は民子の父親長一郎(田中邦衛)が受け持つ。若いアーティスト柳沢と長年の職人長一郎がうまく行かないことは、ストーリーが進む前から見え見えの設定。親戚が口出しし、誰を立ってるか、施主不在の大論戦が始まる。
家を建てるときに「あるある!困るんだよ!」とうなずくシーンの連続にかなりバラエティーとして楽しめる映画だった。印象に残ったシーンは「職人はアーティストがいなければただのオートメーション。でもアーティストは職人がいなければただの変人だ」ということ。産む側と形作る側の外で他人事だった施主の田中が「あの二人が意気投合したら困る!」と途中から積極的に参加するようになるシーンも見逃せないし、映画に奥行きを与えている。
ぼくは結構コメディー映画ファンなので、かなりつぼにはまった一本でした。(記・ショー・アイマックス
【採点 各項目5点満点】
脚本4 演出3 役者4 撮影3 美術3 音楽3
計20/30
それでもやっぱり映画が好きです。