87『オーロラの彼方へ(Frequency)』(2000・アメリカ)

【スタッフ】

監督:グレゴリー・ホブリット『真実の行方』
脚本:トビー・エメリッヒ
撮影:アラー・キヴィロ 『イルマーレ
音楽:マイケル・ケイメンドンファン



【キャスト】

フランク・サリヴァンデニス・クエイドエデンより彼方に
ジョン・サリヴァンジム・カヴィーゼル『パッション 』
ショーン・ドイル:ジャック・シェパード『サウンド・オブ・サイレンス』
ジュリア・サリヴァンエリザベス・ミッチェル『ベティ・サイズモア』



【感想】(ネタばれを含みます)

「絶対に起きない奇跡だったとしても、親子の絆は決してまぼろしではない・・・」

時空を超えて2世代に渡る親子をつないだモノは、無線機とオーロラだった。
異常気象によって発生したオーロラが美しくよろめく夜のこと。
幼くして他界した亡き父・フランクの命日の前日、形見である無線機での通信が、
30年前の生きている父につながった息子のジョン。
30年前に生きるフランクに、翌日が消防士である父が殉職してしまうという未来を伝えた。

半信半疑のフランクであったが、ジョンの予言通り行動したことで
九死に一生を得ることになり、未来にいるジョンの存在を信じるようになる。

一方、父の人生が変わったことにより自身の記憶や生活が変化したことに驚くジョンは、
それまで生きていた母が「亡くなった存在」に変わっていることに愕然とする・・・


この映画の面白い部分は、脚本や演出でいかされている
「未来」と「過去」をつなぐ表現に対する作り手の想像力である。
たとえば、過去が変わると未来も変わるというのはよくある話だが、
実際にその変化の中を生きるジョンの中には、
「変わる前」と「変わった後」の同居している部分や、
死んだ父が延命することによって、現在の息子の命を救うくだりとかを
視覚的に見せてくれる部分は非常に楽しめる。

加えてスピード感のある先の展開が読めない個性的な脚本と、
各シーンの丁寧な絵作りはボリューム感がある内容でありながら、
手を抜かずちゃんと作っている感じが出ている。

そしてSFモノでありながらも主軸である「親子愛」からは
まったくぶれずに踏みとどまっている点が、
最後までちゃんと見れる原動力となっている。

最後まで見終わった後に心の中に軽やかな風が吹く、そんな映画である。


【総評】☆22STARS☆ (各項目5点満点で計30点)

脚本★★★★
演出★★★★
役者★★★★
撮影★★★
美術★★★★
音楽★★★


「やっぱり映画が好きです。」